アーティスト・デザイナーのための知的財産入門🔰

 〜作品を守る&トラブルを防ぐ基本〜

アーティストやデザイナーとして活動する中で、「このデザイン、真似されても大丈夫?」「誰かの作品を参考にしたら問題になる?」など、
知的財産に関する疑問を持ったことはありませんか?

また、他の人に勝手に真似されたり、画像を使われてトラブルになったことはありませんか?

私自身、自分の知的財産を守るために、知的財産管理技能士の資格を2020年に取得しました。

この記事では、知的財産の基本をやさしくまとめています。
難しい法律の話ではなく、「これだけは知っておこう!」というポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。


1. 知的財産ってなに?

知的財産(ちてきざいさん)とは、「目に見えないけれど、価値のある創作物」のこと。
アートやデザインも、しっかりと守られるべき財産なんです!

特に、アーティストやデザイナーが関わるのは 著作権・商標権・意匠権 の3つが多いので、これを中心に解説します。


2. 著作権(ちょさくけん)って?

著作権は、作品を作った瞬間に自動的に発生する権利です。

✔︎ 著作権で守られるもの

  • イラストや絵画
  • デザイン(独創的なもの)
  • 写真
  • 音楽や文章 など

✖︎ 著作権で守られないもの

  • アイデア(考え方だけ、思いついただけでは保護されないです)
  • ありふれたデザイン(例:単なる〇や△の組み合わせ)

【注意!】他人の作品を使うときは・・・?

  • フリー素材ではない「ネットで見つけた画像をそのまま使う」はNG!
  • 参考にする程度はOKだけど、そっくりだと問題になることもあります!
  • AI画像も著作権の問題があるので、使い方に注意が必要です!

⏳ 著作権の期限(保護期間)は?

著作権は永久ではなく、一定期間が過ぎると切れます。

  • 個人が作った作品作者の死後70年間
  • 法人(会社)が作った作品公表後70年間

期限が切れた作品は パブリックドメイン(自由に使える状態)になります。
例えば、ゴッホの絵や江戸時代の浮世絵などは著作権が切れているので、自由に使えます!

【注意!】著作権が切れても気をつけること

  • 新しく編集・加工されたもの(例:美術館がデジタル修正したデータなど)には新しい権利が発生することも!
  • キャラクターやブランドとして登録されている場合は、別の権利(商標権など)が関係することがある!

 


3. 商標権(しょうひょうけん)って?

商標権は、ブランド名やロゴを守る権利です。

✔︎ 商標登録すると…

  • ロゴやブランド名が他の人に勝手に使われるのを防げる
  • 似た名前で商品を売られるリスクを減らせる

【注意!】商標トラブルに気をつけよう!

  • せっかく考えたブランド名が、すでに商標登録されていたら使えない!
  • もし商標を勝手に使うと、相手から「使うのをやめてください」と言われることも…

→ ブランド名やロゴを決めるときは、事前に調べておくのが安心です!

⚠️商標登録は無料ではできません!💰🚫

商標を登録するには、特許庁に申請して審査を受ける必要があり、
その際に 「出願料」「登録料」 などの費用がかかります。

【商標登録にかかる費用(2025年現在)】

🔹 出願料(特許庁へ申請する際の費用)
 → 3,400円 + 1区分あたり8,600円
(区分が増えると費用も増えます)

🔹 登録料(審査に通った後、商標を正式に登録するための費用)
 → 1区分あたり5年分で16,400円 or 10年分で28,200円

💡 合計で最低でも3万円〜5万円程度は必要になります。
(弁理士に依頼すると、プラスで数万円〜数十万円かかる)

🔍 商標を調べるには?

📌 J-PlatPat(ジェイ・プラットパット)(特許情報プラットフォーム)
👉 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

ブランド名やロゴの名称を入力して検索してみましょう!


4. 意匠権(いしょうけん)って?

意匠権は、デザイン(形や模様など)を守るための権利です。

  • プロダクトデザイン(家具・雑貨など)
  • パターンや模様

など、特定のデザインを独占したい場合に使われます!
ただし、意匠権は申請しないと取れないので、特に大切なデザインなら登録を考えてみてもいいかも。


5. よくある質問(FAQ)

Q1. スレッズやブログなど、他の人が投稿した文章をコピペして自分の投稿に使うのはOK?

NGです!著作権侵害になります。

他の人が書いた文章には著作権があり、許可なくコピペして使うのは違法です。
たとえ短い文章でも、そのまま転載すると問題になる可能性があります。

⭕️ OKな場合

  • 「〇〇さんの投稿から引用」と出典を明記し、適切な範囲で引用する(引用ルールを守ることが大事)
  • 自分の言葉で書き直す(ただし、内容がほぼ同じだと「翻案権侵害」になることも)

❌ NGな行為

  • 他人の文章をコピペして、自分の投稿のように使う
  • 出典を明記せず、一部だけ変えて投稿する

SNSで気軽にシェアする文化があるからこそ、気をつけたいポイントですね!

Q2. Canvaの素材を使ってデザインするのはOK?

Canvaの無料・有料素材を使ってデザインを作ること自体はOKですが、Canvaの利用規約に従う必要があります。

例えば、以下の点に注意しましょう。

⭕️ OKなケース
・Canvaのテンプレートを使ってデザインし、それをSNSやWebサイトに投稿する
・Canvaの素材を使用して自分の作品を制作する(ただし、商用利用の可否を確認する)

NGなケース
・Canvaの素材そのものを再配布、販売する(例:Canvaのイラストやアイコンをそのまま販売する)
・Canvaのテンプレートをほぼそのまま使い、自分のオリジナル作品として販売する

Canvaの素材には、それぞれ利用規約があるので、商用利用する場合は必ずCanvaのガイドラインを確認することが大切です!

 

Q3. ディズニーのキャラクターをモチーフにしたグッズを作って販売するのはNG?

➡ NGです。著作権・商標権の侵害になる可能性大!

ディズニーのキャラクター(ミッキーマウス、ドナルドダック、アリエルなど)は、著作権や商標権で保護されているため、許可なく使用することはできません❌

❌ なぜNGなのか?

💡 1. 著作権の侵害
→ ディズニーキャラクターは、ディズニーが創作した「著作物」です。
勝手にキャラクターを描いたり、デザインを使ってグッズを販売すると、著作権侵害になります。

💡 2. 商標権の侵害
→ ディズニーのキャラクター名やロゴ(ミッキーマウスのシルエットなど)は、商標登録されているものが多いです。
商標権を持つ企業(ディズニーなど)が管理しているため、無許可でグッズを作って売ると商標権の侵害になります。

💡 3. 二次創作でも販売はNG
→ 自分で描いたイラストでも、ディズニーキャラクターと認識できるものを販売すると、権利侵害となります。
(個人で楽しむ範囲ならOKですが、販売するとNG!)

⭕️ OKなケースはある?

著作権が切れたキャラクターならOK
→ 著作権は「著作物が作られてから原則70年」で切れることが多いですが、
ディズニーの場合、キャラクターによって著作権の延長が行われているため注意が必要。
(例:1928年登場の初期ミッキーマウスは2024年に著作権切れ。ただし、後のデザインのミッキーはまだ保護されている)

公式ライセンスを取得すればOK
→ ディズニーの公式ライセンスを取得し、正規の許可を得れば販売可能。
ただし、個人がライセンス契約を結ぶのはかなりハードルが高いです。

よくメルカリなどで見かける「ディズニーのキャラクター風グッズ」の販売は基本NG!
「個人で楽しむだけ」ならOKですが、販売すると法的リスクがあるので注意しましょう!


6. 自分の作品を守るには?

✔ 作品を公開するときのポイント

✔︎ 作品を公開するときのポイント

  • 透かし(ウォーターマーク)を入れる
  • SNSやポートフォリオサイトに投稿する前に、日付が分かる形で保存しておく(例:メールで送る、クラウド保存)作品を公開する前に、日付が分かる形で保存しておくのは、「自分がその作品を先に作った」ことを証明するためです。

もし誰かに作品を盗用されたり、類似作品が出てきた場合、「自分がオリジナルの作者である」という証拠があると、権利を主張しやすくなります。

【具体的な証明方法】

◾️メールで送る
→ 自分宛に作品を添付してメールを送ると、送信日時が記録される

◾️クラウドに保存
→ アップロードした日時が履歴に残る

◾️知的財産サービスを利用する
→ 「Creative Commons」や「タイムスタンプ証明サービス」を使うと、さらに強力な証拠になる

Instagramやブログに投稿することでも「この日時に公開した」という証拠にはなりますが、著作権の証明としては弱いです。
なので、Instagramやブログ投稿+αの上記の対策がおすすめです!

著作権は作品を作った時点で発生しますが、トラブルになった際に「証拠がない」と権利を主張しにくくなることがあるので、しっかり記録を残しておくことが大切です!

✔ 仕事を受けるときの注意点

  • 「このデザイン、どこまで使っていい?」を契約でしっかり決める
  • 「著作権をすべて渡す契約」だと、自分の作品を自由に使えなくなることもあります!

7. 商標の具体例(私の登録商標の場合)

例えば、おっぱい展」や「妄想美術室」などの名前は、私が登録商標を取得したものです。
そのため、他の人がこれらを無断で使うことはできません🙅‍♀️

また、「妄想美術室」では、ゴッホの絵やモナリザなど著作権が切れた名画を元にして、新たに編集・加工したオリジナルのキャンバスを作成し販売しています。

これらの「事前に名画の下地をキャンバスにプリントして名画を描く体験をする」という
新しいアートワークショップは、弊社の新しい権利が発生しているため、第三者が無断で使用することはNGです。
(弊社から名画キャンバスを購入してアートワークを行い、その作品を販売することはOKです!)

 

「おっぱい展」は無断で使用することはNGですが、レンタルパッケージ「旅するOPPAI、」として有料で貸し出しを行っています。
そのため、レンタルパッケージを利用すれば、「おっぱい展」の名前やロゴを使用することや、イベント開催は可能です!

 


📌 まとめ

  • 著作権 → 作品を作ったら自動的に発生!期限は 作者の死後70年
  • 商標権 → ブランド名やロゴを守るための権利(登録が必要
  • 意匠権 → デザインの形や模様を保護する権利(登録が必要
  • 他人の投稿をコピペするのはNG!引用ルールを守ることが大事!
  • 商標やデザインを決める前に J-PlatPat で検索してみよう!

今回は、アーティストやデザイナーが知っておくべき知的財産のポイントをまとめました!
他に気になることがあれば気軽に聞いてくださいね😊

知的財産の基本を知って、あなたの作品をしっかり守りながら、自由に表現を楽しんでください!



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